坊主と催涙雨


君が明日の太陽を僕に託すから

曇り空見上げてぶら下がっている

所詮は無力なティッシュペーパーで

TVに映る地図には容赦なく傘がさされている


君がくくった糸が締め付ける


願いを込めて浮かぶ僕の前には

雨、雨、雨

願いを叶えられぬ僕の頬を濡らす

涙、涙、涙

涙に似ていた


年にたった一度のこの日を君は待ち侘びながら

毎夜煌びやかに流れる川を眺めていた

祈るように 夢見るように

それなのに今日は見えない


願いを込めて見上げる君の前には

雨、雨、雨

願いが叶わぬ君の目蓋腫らす

涙、涙、涙

涙そのものだった


彼はこんな嵐の中でも

ほら君に会いにきたのさ

荒れ狂う川を まだ煌めく川を

君が眺めた川を 雲が隠した川を

渡って


やがて雲は僕らを包んだ後に

空に流れる川を見せた

見上げる僕と幸せそうな二人

僕は最後に役目を果たせた


願いが叶った二人の前には

願いが叶った僕の前には

星が降った