リバース

 

うだつの上がらない日々をなんとかくぐり抜けてきた

でももう限界だ 疲れた 僕は昨日辞表を出した

インテリアと化したギター 弦が切れるまで掻き鳴らした

チューニングもコードも知らない 気が済んだら叩き割って

 

大事にしている写真を敢えて燃やしてみる

火災報知器が歌う もうどうでもよくなって飛び出した玄関

 

弾け飛んでしまいたい衝動に駆られてずっと走っていた

隠すように前だけを見ていたら気がつけば隣街まで来ていた

もう明日を最期にしようか その前に僕を全部使い切らせてくれ

 

海を越えて僕を知らない人しかいない街へ行った

食って飲んで吐いて眠って昼過ぎに起きて
初めてのタバコ 初めてのナンパ 嫌いなブラックがぶ飲みしてポイ捨て

同じように捨てられた命を気まぐれで拾った

 

馬鹿みたいに派手なジャケットを買って羽織ってみた

似合ってなくて吹き出したよ

ああこんなのも悪くないな

無茶苦茶にしてしまいたい衝動に従って後は笑っていた

子どものようにはしゃいで回って気がつけば明日を考えていた

もう今日は最期と決めたのに今更僕の全部が輝きだした

 

ナンパした女が僕に「愛してる」と言うようになった

拾った犬が僕に尻尾を振り近付くようになった

ここが楽園だとしたら本当に僕は生きているのかな

あの時買ったジャケットはまだ部屋に飾っているよ

 

飛び出し走った死にゆくように 好きにし笑った生まれるように

気が付けばただ願っていた 生きたいと
そう 最後の最期はお預け 今僕が始まったばかり

まだまだ知りたいんだ新しいすべてを